祭具と道具
祭具とは花祭りの祭場の飾りつけに用いられる切紙細工や、神事に用いられる幣等を言う。
舞道具とは舞に用いられる面形を始め、手に持って舞う道具や、着用する衣裳、拍子用道具を言う。
主な祭具
しめ縄
神部屋、神座、舞戸の四方や、氏神の正面に張る。しめ縄には四垂れのかいだれをつける。ざぜち
白紙に絵型、字型を切り抜いたもので、神部屋、神座、舞戸の四方につるす。七、八種類のものがあるがその型は一様ではない。またつるす順序も決まっていない。三沢、間黒の花祭はこのざぜちがない。ゆぶた
舞戸の中央釜の真上に飾られる方形の天蓋状のもので、白紙又は五色の紙が使われ、神々の宿る所とされ、所により違いがある。色々な祭具の組み合わせにより構成され、びゃっけと神道又は千道で結ばれている。ひいな
人型幣で、五色の紙を二つ折りにしたものを5ミリ程の中に幾筋も切り垂らす幣で、坂宇場、下黒川、三沢ではひいなの頭に、古真立では切り型の中央に顔が切り込まれている。かいだれ
けえだれとも言い、びゃっけの中央に芯として、又、端をとじてつるす五色のたれで、けん、くつ、扇の三種類がある。やつはし
白紙を短冊型に二つ折りにし、梯子風の型に四段〜八段に切り抜いたもので、上黒川では湯蓋の四隅へ、三沢、坂宇場ではびゃっけの四方に、下黒川では舞戸四方柱にこれをつるす。はた
三沢の花祭にのみある。舞戸とびゃっけの四隅に、東西南北の守護神を記した短冊形の二つ折りした紙をつるす。これをはたと言う。ざんざ
びゃっけ、ゆぶたの木枠の上に貼る。白紙の片方に切り込みを入れたものを方ざんざ、両方のものを両ざんざと言い、上黒川、三沢、坂宇場にある。蜂の巣
ゆぶた、又はびゃっけの中心につるす袋状の切り紙の中へ、五色の紙細片と小銭を入れたもので、古真立では竹のカゴ状に編んだものの中へ、五色の細片を入れる。形が蜂の巣に似ているのでこの名がある。日光・月光
ゆぶた、又はびゃっけの中心に蜂の巣と共につるされ、日光は金紙で円形、月光は銀紙で月形を作り紐によりつる。上黒川、坂宇場にある。びゃっけ(きんがさ)
舞台の中心に飾られ、天蓋状のもので120センチ方形の木枠にひいな、かいだれ、蜂の巣、日光、月光、ざんざ等が組み合わされてつけられ、神道、千道により梵天、ゆぶた、四方の柱に繋がっている。くも
古真立では、びゃっけの四方へ貼る白紙で、三沢では、びゃっけとゆぶたの吊紐の上に貼る白紙を言う。他の所には無い。神道
梵天よりびゃっけへ、びゃっけより舞戸の四隅の柱へ引く切り紙のしめの一種で、神々の渡る道とされ、方位によって色分けがされている。下黒川では西方を波型に切り、魚の切型がある青紙が使われている。千道(ちみち)
びゃっけとゆぶたを結ぶ道で白又は五色のしめの一種の神々の渡る道と考えられている。古真立と三沢にはこの千道がある。ももづな
びゃっけ、ゆぶた、添花の吊紐に添ってその四隅に垂らされる細い切紙で、古真立ではびゃっけの四隅より下に長く垂らされている。梵天
神々の降臨される依代(よりしろ)とされ、十八本の幣にて構成されている。神座の鴨居付近に取り付けられ神道はここより出ている。みぐし
花育ての神事用に色紙と竹で、大花二本、中花二本、小花二十本を作りこれを花太夫を先頭に宮人その他大勢の人達が地面に突きつつ釜の周りを廻る。この花をみぐしと言う。こうかづら
花育ての時大花を持つ二人は、五色の切り紙を垂らしたものを頭に被る。これをこうかづらと言い、神楽の生れ清まりの行事に神子の人達の頭に被せた。三沢、下黒川にある。懸け帯
花育てに大花を持つ二人は、こうかづらを被り首より胸に紙で作った輪袈裟状のものを掛ける。これを懸け帯と言う。三沢でのみ用いられている。祓い幣
花太夫、宮人は神事中にこの幣を持って祭事をおこない不要の時には襟に差す。御幣
おんべ、又は宝とも言い、長さ90センチ位の竹の柄がつく、神々に供える他、火の禰宜はこれを持って舞う。古真立の御幣には顔が切り込まれている。下黒川ではこれを添え花として奉納されている。天狗幣
花太夫が切草初め(刀立て)にこれを切って祀り、辻固めに舞戸の入口や鳥居脇に立てて天狗を祭るが、古真立では一本を釜の脇に、一本を屋根棟に立てる。釜幣
釜の脇に立てる三角形の幣で90センチ位の竹の柄をつけ、三宝荒神を祀る。